2014/05/25 日曜日日曜日
SDLX SUPERSESSIONS!SDLX SUPERSESSIONS!
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欧州フリー・ジャズ・シーン最後の巨人が遂に初来日!
これまで数多くの優れた音楽家が欧州フリー・ジャズ・シーンから来日しているが、フローデ・イェシュタの初来日を「最後の巨人の到来」と形容しても過言ではないだろう。
伝統的なジャズ・スタイルに早くから民族音楽の要素や国民性を反映した美的感を取り入れ、ECM等のレーベルを通じて極めて個性的な音楽を世界に向けて発信して来た北欧の小国ノルウェー。国民的サックス奏者であるヤン・ガルバレクの経歴を振り返ると、ファラオ・サンダーズやガトー・バルビエリらフリー・ジャズ系リード奏者の影響がむき出しのデビュー当時から、今日のガルバレクが奏でるイージー・リスニング・エスノ・ジャズに至るまで、絵に描いた様に明快な軌道が見える。それをそのままノルウェーのジャズの歴史と解釈する者は少なくないだろう。しかし70~80年代を通して続いたガルバレクとその仲間たちの支配的な影響力の影で様々な音楽スタイルがうごめき、数多くの知られざる物語が展開していた。フローデ・イェシュタはその中でも特に重要な物語の主人公である。
1948年スタヴァンゲル市に生まれたイェシュタは根っからの前衛ジャズ・ミュージシャンである。元々はトランペット奏者として即興演奏に携わるようになったものの、アルバート・アイラーやエリック・ドルフィーに魅了されて21歳でサックスに転向。71年から数年の間ノルウェーよりもフリー・ジャズが盛んだったスウェーデンに滞在し、多くのミュージシャンと共演。75年にスタヴァンゲルに戻るや否や、同じく地元出身の鍵盤奏者アイヴィン・オネ・ペダーシェンと意気投合、即興演奏を様々な側面から探るべくデュオとして、更に他の演奏家も交えながら活動を続ける。
81年、イェシュタはSME(Spontaneous Music Ensemble)の創立メンバーとして知られるイギリス人ドラマー、ジョン・スティーヴンスと運命的な出会いを果たす。イェシュタ、ペダーシェン、スティーヴンスはトリオを結成し、これをDetailと命名。翌年ペダーシェンの退団と共に南ア出身のベーシスト、ジョニー・ディアニが参加。ディアニの没後(86年)はポール・ロジャーズ、続いてケント・カーターがベースを担当した。Detailは時にボビー・ブラッドフォード(tp)やビリー・バング(vln)を4人目のメンバーとして迎えながら94年にスティーヴンスが他界するまで活動を続けていた。
Detailの面々に加え、イェシュタはこれまでボラ・バーグマン(p)、ニック・スティーヴンス(b)、ルイ・モホロ(ds)、ポール・ラザーフォード(tb)、ペーター・ブロッツマン(s、cl)、ハミード・ドレイク(ds)、ウィリアム・パーカー(b)、エヴァン・パーカー(s)ケヴィン・ノートン(ds)、トニー・マーシュ(ds)、サビール・マッティーン(s)、ハン・ベニンク(ds)といった、正にインターナショナルな強者たちと共演したりグループを組んだりしている。
また、イェシュタはノルウェーの若手にもアヴァンギャルド・ジャズの魅力を伝えるべく、90年代初頭スタヴェンゲルにてCirculasione Totale Orchestraを結成。フリー・ジャズ界有数のこのビッグ・バンドは当初から積極的に電気楽器やロック・リズム、エレクトロニクス、ノイズ等を要素として取り入れ、定期的にではあるが現在も意欲に満ちた活動を続けている。この実験的なグループの初代メンバーには期待の地元ドラマー、ポール・ニルセン・ラヴもいた。
99年、より身軽な編成を実現するべくイエシュタはCirculasione Totale Orchestraの心臓部であるニルセン・ラヴ、オイヴィン・ストレスン(b)と共にFrode Gjerstad Trioを結成し、国際的な活動をスタートさせた。2011年にベーシストがストレスンから若手の逸材ヨン・ルーネ・ストレムにバトンタッチしたことにより、今回来日するのはますますパワーアップした新生フローデ・イェシュタ・トリオである。
フローデ・イェシュタのアルト・サックスは日本のファンにきっと強烈な印象を与えるであろう。有り余る程のスピード感とパワーはもちろん、極めて肉声的な音色が凄く、まるで魂の叫びのように聴く者の胸元に突き刺さるのである。ペーター・ブロッツマンはイェシュタをズバリ「アイツは吹ける!」と評している。
アトミックやザ・シングを始めとする数多くの人気グループでも活躍するポール・ニルセン・ラヴにとってイェシュタは師匠であり、音楽的な育ての親である。2人の共演暦はほぼ四半世紀とあって、互いに手の内を知り尽くしている。従ってニルセン・ラヴのもっとも自由で伸び伸びとした演奏がこのトリオで聴かれる。ストレムはまだ29歳だが、早くもノルウェーのナンバーワン・ベーシストの地位を脅かす存在であり、その生々しい音色と豪快な指使いのインパクトは大きい。
永く太い絆から滲み出る精神性、新鮮な血の混入から生まれるエナジー。フローデ・イェシュタ・トリオの来日公演は必ずやあなたの身も心も動かすことでしょう。
フローデ・イェシュタ・トリオ:
フローデ・イェシュタ(アルト・サックス、クラリネット)
ヨン・ルーネ・ストレム(コントラバス)
ポール・ニルセン・ラヴ(ドラムス)
ゲスト:
坂田明(アルト・サックス、クラリネット)
八木美知依(エレクトリック21絃箏、17絃ベース箏)
出演者詳細:
フローデ・イェシュタ
![/sdlx/140525-Frode-Gjerstad.jpg](/sdlx/140525-Frode-Gjerstad.jpg)
[frodegjerstad.com](http://frodegjerstad.com)
[フローデ・イェシュタ wikipedia](http://en.wikipedia.org/wiki/Frode_Gjerstad)
ポール・ニルセン・ラヴ
![/sdlx/130122-paalnilssenloveallears2004.jpg](/sdlx/130122-paalnilssenloveallears2004.jpg)
[ポール・ニルセン・ラヴ Homepage](http://www.paalnilssen-love.com/)
坂田明
![/sdlx/121218-sakata.jpg](/sdlx/121218-sakata.jpg)
[坂田明 homepage](http://www.akira-sakata.com/)
八木美知依(エレクトリック21絃箏、17絃ベース箏、歌)
![/sdlx/130926-yagi.jpg](/sdlx/130926-yagi.jpg)
邦楽はもちろん、前衛ジャズや現代音楽からロックやポップまで幅広く活動するハイパー箏(こと)奏者。故・沢井忠夫、沢井一恵に師事。NHK邦楽技能者育成会卒業後、ウェスリアン大学客員教授として渡米中、ジョン・ケージやジョン・ゾーンらに影響を受ける。ゾーンのプロデュースによるソロ・アルバム『Shizuku』(99年)を皮切りに、自己の箏アンサンブルとの『ゆらる』(01年)、17絃ソロ作『Seventeen』(05年)、インゲブリグト・ホーケル・フラーテン(b)とポール・ニルセン・ラヴ(ds)を迎えた『ライヴ!アット・スーパーデラックス』(06年)をリリース。06年にペーター・ブロッツマン(s)、ポール・ニルセン・ラヴとトリオを結成し、『Head On』(08年)と『ヴォルダ』(10年)をリリース。最新作はエリオット・シャープ(g)とのデュオ作『リフレクションズ』(10年)。08年、ラヴィ・シャンカール、パコ・デ・ルシアらと共に英国のワールドミュージック誌 “Songlines” の《世界の最も優れた演奏家50人》に選ばれる。Moers Jazz Festival(ドイツ)、Vision Festival(米国)、Kongsberg Jazz Festival(ノルウェー)、Újbuda Jazz Festival(ハンガリー)、Music Unlimited(オーストリア)、Instal(イギリス)等に出演。世界のトップ・インプロヴァイザーと共演するかたわら、プログレッシヴ・ロック・アーティストのスティーヴン・ウィルソン(Porcupine Tree)、アコーディオン奏者のcoba、更に浜崎あゆみ、アンジェラ・アキやTakuya(元Judy & Mary)といったJ-POPアーティストのレコーディングやステージにも参加。現在は本田珠也(ds)、田中徳崇(ds)、トッド・ニコルソン(b)、須川崇志(b)と結成した《八木美知依ダブル・トリオ》を活動の核とし、オリジナル曲を中心としたレパートリーを聴かせている。
[八木美知依BLOG-琴の次第-](http://michiyo-yagi.cocolog-nifty.com/)
[八木美知依 japanimprov.com](http://www.japanimprov.com/myagi/)
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